人間の顔・キャラクターの顔の違いとは。その検討可能性について。

初めに

マンガ・アニメを構成する要素 設定、ストーリー、セリフ、コマ割り、音、キャラクター

キャラクターとは創作者の意図が色濃く反映された創作物なのである。

顔の部分的な相貌特徴と魅力の関係については,Cunningham(1986)に詳しい。女性の顔の目・鼻・口など相貌特徴を “幼形特徴”“成熟特徴”“表情特徴”に分け,それらの大きさと魅力との相関が示されている。

幼形特徴は子どものかわい さの特徴と同様で,大きな額,大きな目,広い目と目の間,小さい鼻,小さい顎,大きい唇などが特徴で,目の大きさは特 に影響が強いとされている。 -> 二次元のキャラクター

成熟特徴は高く広い頬骨などが特徴で,その女性の地位を示唆し尊敬の念を抱かせる。

表情特徴は大きな口の横幅で表される笑顔,高い眉,大きな瞳孔といったポジティブ感情や興味,関心のシグナルである。 これらの特徴が他人より逸脱していると魅力的であり,デートなど求愛行動の相手として選択されやすかった。また,性格特性の 判断は相貌特徴から直接推測するのではなく,相貌特徴から魅力的であるということを判断し,魅力的な人は他の人より社 会性があるという知識を用い,最終的に魅力的な人は社会性があるという判断を行っているという構造も示された。この, 魅力的な人物は社会的に望ましい性格特性で成功者であるという「美しいものは良いもの」のステレオタイプは,Dion, Berscheid, & Walster(1972)でも指摘されている。これらの相貌特徴が魅力的である理由として,幼形特徴は認知者から ケアや愛情を引き出し,成熟特徴は女性の地位を示し,表情特徴はこちらに笑顔と興味を向けている。それらの組み合わせ はその女性が配偶者として遺伝子を残すのに最適な年齢と状態のシグナルであるという考えが示されている(Cunningham, 1986)。

この先行する顔刺激がマンガ・アニメの顔であることは,後続の顔刺激の認知に影響を及ぼすのであろうか。Chen, Russell, Nakayama, & Livingstone(2010)は,実験参加者を先行刺激として大きな目をしたキャラのアニメ映像を見る 群と,人間の実写映像を見る群とに分け,映像を見る前後の人間の顔の好みがどう変化するかを調査した。その結果,アニ メ映像を見ていた群のみ,映像を見る前より大きい目の顔を好むようになっていた。大きい目を持つキャラクターの顔に順 応し,リアルな人間の顔の好みも大きい目を持つ顔へとシフトしたのである。つまり,こういった顔の順応効果の存在は, 普段から先行刺激としてマンガ・アニメに特徴的な顔と親しんでいる人とそうでない人との間で,顔に対する認知は異なる 可能性を示唆する。